Iターン者の林業最前線
自分の身は自分で守る
Aさん(35歳/林業会社勤務/宮崎県)
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| Aさんが働く下刈りの現場 |
「雷が鳴らない限り、雨の日も仕事です。炎天下で作業するより楽ですよ」と語るAさん。カッパを着込み刈払機を担いで斜面を降りていく姿が、瞬く間に見えなくなった。
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Aさんは以前、首都圏の都会に住み、大手の総合電機メーカーに勤めていた。仕事は、半導体関連の研究・開発・営業。競争の厳しい業界だ。連日の徹夜も日常茶飯事だった。周りには心を病む人もいた。そんな前職を「命を削る仕事だった」と振り返る。
子どもがアトピー気味だったこともあり、食事や生活を見つめ直した。自然への思いが強くなっていった。太陽、空気、土、水―。自分たちが口にするものは、山から流れ出た水が源。山を守り育てる林業との出会いだった。「小さい頃、命をかける仕事という意味で消防士に憧れていたんですよ。林業もそうだと思います。命を削るくらいなら、命をかけて仕事をしたいな、と」。家族で宮崎県のこの村を訪れた。林業が地域に根付き、当たり前のように暮らしに溶け込んでいた。村の祭に参加して、住民と交流を深め、平成13年にIターンした。
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以前の仕事と比べ、林業では安全の考え方が大きく異なった。
「これまでは、危ないもの、動くものには全てカバーをかけろという具合に、徹底的に排除するような考え方でした。ところが、刈払機やチェーンソーなど、むき出しの刃物を一日中持ち歩くことになる。それも、足場の不安定な山の中です。当たり前の話なんですが、以前の感覚からすれば『ありえない』話なんですね」。誤って事故が起きれば、命も危険にさらされる。「命をかけた仕事」という言葉が、にわかに現実味を帯びてくる。
「安全の基本は、自己責任、自己管理になります。教えてもらうにも限界があるし、安全の知識を身につけないといけません」。飲みかた(酒の席)でベテランから聞く事故やケガの話は、貴重な財産だという。(取材・塚本哲)
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| 林業ではむき出しの刃物を扱う。「必要最低限の安全を自分自身で確保する必要があります」とAさん | 刈刃を研ぐ目立てヤスリは、ビニールホースを利用して持ち歩く |

